2025年

2025年2月

有給休暇の取得率上昇とプレゼンティーイズム

◆年次有給休暇の取得率は10年で急上昇
厚生労働省から令和6年「就労条件総合調査」の結果が公表されました。
令和5年の1年間に企業が付与した年次有給休暇(繰越日数を除く。)の取得率は65.3%(同62.1%)となり、昭和59年以降最も高くなっています。10年ほど前には40%台後半でしたので、実に20パーセントポイントほども急上昇していることになります。
 
◆プレゼンティーイズム
こうした流れの中で、職場の管理職の中には「最近の若い者は休みばっかり取っている」と感じる向きがあるかもしれません。
もしかすると、それは「プレゼンティーイズム」に陥っているからかもしれません。プレゼンティーイズムとは、単に職場に物理的に存在することを重視する傾向や、長時間労働を美徳とする考え方を指します。実際の生産性や成果よりも、職場にいることを偏重する誤った労働観、という意味で使われる言葉です。
プレゼンティーイズムに凝り固まるのは問題がありますが、一方で、その場にいないとコミュニケーションが不足したり報連相がスムーズにいかなくなるのも事実でしょう。新しい連絡ツールなどがいろいろと登場しているとはいえ、その場にいること、リアルな対面での情報交換の重要性が消えてなくなることはないでしょう。
何事もバランスの問題かもしれません。バランスの取れた判断をするためには職場のリーダーや管理者の意識が重要となります。「会社の売上が減っているのに休みばっかり取って……」と不満を抱えて憂鬱になるより、売上減の要因を探って対策を考えるほうが建設的でしょう。

◆社内規程のアップデートも忘れずに
時代に適合しない企業は生き残れません。リーダーの考え方にアップデートの余地がないか、ちょっと立ち止まって考えてみるのも有益かもしれません。もちろん、就業規則などの社内規程のアップデートも忘れずにしておきましょう。
【厚生労働省「令和6年就労条件総合調査 結果の概況」】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/24/index.html


2月の税務と労務の手続提出期限[提出先・納付先]

1日
○贈与税の申告受付開始<3月15日まで>[税務署]

10日
○源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]

17日
○所得税の確定申告受付開始<3月15日まで>[税務署]
※なお、還付申告については2月14日以前でも受付可能。

28日
○じん肺健康管理実施状況報告の提出[労働基準監督署]
○健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
○労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
○外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
○固定資産税・都市計画税の納付<第4期>[郵便局または銀行]
※都・市町村によっては異なる月の場合がある

2025年1月

ハローワークにおける求人不受理の対象が追加されます

 

◆ハローワークにおける求人不受理の対象とは?

 ハローワークの求人は、労働関係法令の規定に違反し、企業名公表等の措置が講じられた者からの求人の申込みについては受理しないことができると、職業安定法の政令に規定されています。

 例えば、労働基準法や最低賃金法の規定に、過去1年間に2回以上、同一条項違反で是正指導を受けた場合は是正後6カ月経過まで不受理となります。送検・公表された場合は、送検後概ね1年経過まで不受理となります。また、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法の規定に違反し、是正を求める勧告等に従わずに公表された場合も是正後6カ月経過まで不受理となります。

 

◆改正育児・介護休業法の施行にあわせて求人不受理の対象が追加

 2024年の通常国会で成立した改正育児・介護休業法は、一部が202541日と2025101日の2回に分けて施行されます。この改正法の施行にあわせて、求人不受理の対象が追加されます。

 具体的には、労働者が家族の介護の必要性に直面した旨を事業主に対して申し出たことを理由とした不利益取扱いの禁止への違反が、202544日から追加されます。

 また、(1)労働者から確認された就業に関する条件に係る意向の内容を理由とした不利益取扱いの禁止、(2)柔軟な働き方を実現するための措置(3歳から小学校就学までの子を養育する労働者に対する始業時刻等の変更等の措置)の実施義務、(3)事業主が講じた柔軟な働き方を実現するための措置に係る申出をしたこと等を理由とした不利益取扱いの禁止を定めた規定への違反について、2025101日から追加されます。

 

価格交渉促進月間(20249月)のフォローアップ調査結果~中小企業庁

 

原材料費やエネルギー価格、労務費などが上昇する中、多くの中小企業が価格交渉・価格転嫁できる環境を整備するため、中小企業庁では20219月より、毎年3月と9月を「価格交渉促進月間」と設定し、受注企業が発注企業にどの程度価格交渉・価格転嫁できたかを把握するための調査を実施しています。

1129日に公表された20249月のフォローアップ調査の結果では、価格転嫁に関する発注側企業による説明状況や、サプライチェーンの各段階における価格転嫁の状況、官公需における価格交渉・価格転嫁の状況についても初めて調査が行われました。

 

◆価格交渉の状況

直近6か月間における価格交渉の状況は、「発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた」割合は、前回から約2ポイント増の28.3%、「価格交渉が行われた」割合も前回から約1ポイント増の86.4%でした。

発注企業からの申し入れは浸透しつつあるものの、受注企業の意に反して「交渉が行われなかった」割合が約1.5割あり、引き続き、労務費指針の徹底等による価格交渉・転嫁への機運醸成が必要です。

◆価格転嫁の状況

 コスト全体の価格転嫁率は49.7%で、今年3月より約3ポイント増加しています。「全額価格転嫁できた」割合は、前回から約3ポイント増の25.5%、「一部でも価格転嫁できた」割合も前回から約3ポイント増の79.9%と、増加しました。

価格転嫁の状況は改善してはいますが、「転嫁できた企業」と「できない企業」で二極化がみられ、転嫁対策の徹底が重要です。

◆価格転嫁に関する発注側企業による説明

今回調査では、価格転嫁に関する発注側企業による説明を初めて調査しました。価格交渉が行われたものの、コスト上昇分の全額の価格転嫁には至らなかった企業(全体の37.8%)のうち、発注側企業から価格転嫁について、「納得できる説明があった」と回答した企業は約6割ありました。一方で、「発注側企業から説明はあったものの、納得できるものではなかった」または「発注側企業からの説明はなかった」とする回答が約4割となっています。

発注側企業に対し、価格交渉の場の設定のみならず、価格に関する受注側企業への十分な説明も求めていく必要があります。

 

1月の税務と労務の手続期限[提出先・納付先]

 

10日

○源泉徴収税額()・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

※ただし、6ヶ月ごとの納付の特例を受けている場合には、令和67月から12月までの徴収分を120日までに納付

○雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]

 

31日

○法定調書<源泉徴収票・報酬等支払調書・同合計表>の提出[税務署]

○給与支払報告書の提出<1月1日現在のもの>[市区町村]

○固定資産税の償却資産に関する申告[市区町村]

○個人の道府県民税・市町村民税の納付<第4期分>[郵便局または銀行]

○労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、10月~12月分>[労働基準監督署]

○健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

○健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

○労働保険料納付<延納第3期分>

○労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

○外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]

○固定資産税に係る住宅用地の申告[市区町村]

 

本年最初の給料の支払を受ける日の前日まで

○給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出[給与の支払者(所轄税務署)]

○本年分所得税源泉徴収簿の書換え[給与の支払者]

CONTACT US